【大村湾ワンダーオーシャン調査隊2023】を開催しました!その②

2023-8-18
海と日本PROJECT in ながさき

7月31日(月) 2日目

<大村湾って泳げるの?海にダイブして瀬戸付近の温度や生物・植物に触れよう!>

調査隊の活動2日目です!2日目最初の体験は、川棚町大崎海水浴場で行うシュノーケリング体験。長崎ダイビングサービス海だよりの中村拓朗さんに海の生物や植物、楽しさについて教えてもらいます。この体験が一番の楽しみだったと話す子も多く、大村湾で見られる多種多様な生物の話を興奮ぎみに聞いていました!大村湾はリアス式の海岸が多く、水質もあまり良くないため海水浴場が少なく、大崎海水浴場は大村湾にある貴重な海水浴場のうちのひとつです。中村さんの熱のこもった講義を聞いた後は、正しくライフジャケットを装着して、海にダイブ!この日は前日から晴れが続いていたため、海中を良く観察することができました。水クラゲやヒトデ、ヤドカリやカワハギを見つけ、想像以上に生物がいたことに子ども達は感激していました。また、海藻も多く見られ「大村湾が生きている証拠!こういった藻が増えると、魚が育ちやすいんだよー!」と中村さんは話していました。

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<長崎空港はなぜ大村湾にある?>

続いては、長崎空港のワンダーについて調査します。大村湾に建設された長崎空港は、世界で初めての本格的な海上空港です。海上に空港を作るのにはひとつ大きなメリットがあります。それは住宅が周りにないため、騒音による迷惑が住民にかからないことです。ただ、理由はそれだけではありません。大村湾が世界で初めてとなったのは、これまでにも習った通り、”超”閉鎖性海域であるため”高波が発生しにくく””強風が吹きにくい”などといった大村湾ならではの特徴があるためです。

この長崎空港は、世界でも珍しい海上空港の為、飛行機が飛ぶ就航率は100%に近いとされています。この日は、一般の人は入れない、空港の高台部分に入らせてもらい、空港、そして大村湾を上から眺め、海に浮かぶ大村空港を体感しました。

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<大村湾の課題、富栄養化って?大村湾を守るアサリの水質浄化作用>

大村湾の良いところをたくさん学んできた2日間、この講義では大村湾の課題や取り組みについて学びます。長崎大学水産学部の瓜生さんは、海水の入れ替わりが少ない大村湾の課題である聞きなれない”富栄養化”について、わかりやすく講義してくれました。

栄養が豊富という字面を見ると良いことのようにも思えますが、ここで問題となっているのは、人間で言うと”メタボ”のような状態になっているということ。窒素・リンなどの栄養塩類が必要以上に増え、植物プランクトンが大量に増えると、植物プランクトンの呼吸活動により水中の酸素が少なくなり、魚や貝が酸素を吸えずに大量に死んでしまうというようなことが起こってしまいます。

この現象が起こっているシグナルとして、アオサの大量発生が挙げられます。窒素やリンを栄養にして成長するアオサは、大村湾でも大量発生して沿岸部に打ち上げられているところがよく見られます。大量発生して打ち上げられたアオサは放置されると腐り、そのままヘドロになってしまい、海底に溜まっていきます。ヘドロの堆積もまた、大村湾の大きな問題のひとつです。富栄養化の原因は様々で、生活のなかで洗剤や食べ残しを多く排水してしまうことも富栄養化に繋がる原因のひとつです。”食べられる分の量だけご飯を作る”、”食べ物は残さない”といった、身近でできる取り組みがあることを知り、「できることからすぐに行動に移したい」と発表する子どももいました。

ここでは、長崎県地域環境課の前田さん、環境保健研究センターの粕谷さんにも講義をしてもらいました。長崎県では、水質の調査・研究が長年にわたって行われ、富栄養化などの問題の改善に向けて近年でも様々なアクションが行われています。アサリなどの二枚貝の水質浄化の動画を見せてくれた粕谷さんは「アサリを自然に増やす取り組みとして、アサリが生息しやすいようにガラスを砕いて小さくしたものを海岸に撒く取り組みがある。ガラスの砂浜はその美しさから、”映えスポット”として観光地にもなっている」と話します。

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<大村湾を守る取り組み”ガラスの砂浜”を調査>

ガラスの砂浜について座学で学んだ後は、実際に現場を見に行きます!この日は海岸清掃の翌日ということもあり、たまたま無かったのですが、近隣の海岸には大量発生したアオサが打ち上げられていることがよくあるそうです。実際にガラスの砂浜を見て、波打ち際にアサリなどの生物がいるか調査しました。以前までは波打ち際には貝はあまりいなかったそうですが、調査をすると、いくつも発見することができました。観光地にもなり、水質改善にもなる、とても良い取り組みですが、「県の予算だけではこういった取り組みを増やすには限度がある。環境悪化に対する意識を県民1人1人が持つことが、こういった取り組みを広げていく力になる」と講師の方は話しました。海岸付近はほのかにヘドロの匂いもして、まだまだ環境改善の余地があることを子ども達は実感していたようでした。

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<水質調査のまとめ>

大村湾内3箇所(早岐瀬戸、ガラスの砂浜、大村湾漁協)で採取した海水を、簡易水質測定器のパックテストを用いてリンや窒素、CODの数値を比較しました。CODは化学的酸素消費量と呼ばれ、CODの値が大きいほど水中の有機物が多いことを示し、水質汚濁の程度も大きくなる傾向があります。水質の良し悪しをはかる基準として、CODが使用されるということを、地域環境課の前田さんの講義でも聞いていた子ども達は、それぞれの班でCODの結果を共有しました。

結果を測定する前に松岡先生は「湾の出入口の方が、外海との海水の入れ替えがあるため、CODの数値は良いのではないか」という仮説をたてていましたが、意外にもそれぞれの場所での数値はほとんど一緒でした。原因として、採取した場所が海水の表層部だったことなどが考えられますが、湾内では場所によってそこまで数値は変わらないというのが実情かもしれない、ということも話していました。子ども達にとっては少し難しかったかもしれませんが、仮説と検証を繰り返すことで、正しい事実や新しい発見が得られるということもこの体験で学ぶことができました。

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3日目はこれまで学んだことを振り返り、大村湾の未来について話し合います!

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