レポート
2023.09.05

「二島開拓大作戦 2023」を開催しました!

⼀般社団法⼈海と⽇本プロジェクトinながさきは、今年度、地元大村湾を身近に感じ、海の環境について考えるきっかけを創出するため、「大村湾ワンダーベイプロジェクト」を展開しています。
この大村湾ワンダーベイプロジェクトの一環として、2023年8月20日(日)・8月27日(日)の2日間、長崎県内の小中学生を対象に、大村湾の海洋ごみ問題や海の魅力を知ることで子どもたちが地元大村湾への関心を深め、大村湾を守りたい!という心を育む「二島開拓大作戦 2023」を開催しました。

このイベントは、次世代へ豊かで美しい海を引き継ぐために、海を介して人と人つながる“日本財団「海と日本プロジェクト」”の一環です。

 イベント概要                                    

■イベント名:二島開拓大作戦2023

■日程:1日目 2023年8月20日(日)・2日目 2023年8月27日(日)

■開催場所:無人島 二島(ふたしま) 大村湾内、長崎県西彼杵郡長与町岡郷に位置する無人島
      ワークショップ 長与町海洋スポーツ交流館

■参加人数:10名(中学1年生 2名、小学6年生 4名、小学5年生 4名)

■応援団長:まえかわぱーてぃー(お笑いタレント・長崎県時津町出身)

■共催:日本財団 海と日本プロジェクト、長与町、大村湾漁業協同組合

■協力:安田産業汽船株式会社

【体験内容】

①環境の専門家と一緒に無人島をフィールドワーク〈講師:環境アドバイザー 土橋 敬一氏〉
どんな生き物がいる?どんな植物がある?白地図に書き込んで、島の地図を作ろう。

②海洋ごみ調査
どんな場所にどんな種類のごみが落ちている?白地図に書き込んでみよう。

③海の先生と一緒に海の中を観察しよう〈講師:⻑崎ダイビングサービス海だより 代表 中村 拓朗氏〉
何種類の生き物がいる?シュノーケルで海の中の観察をしながら解説を聞こう。

④みんなの夢を未来につなごう、開拓ワークショップ
調査してわかった島の課題は?どんな島にしたい?島の開拓の未来を考えよう。

 

今回は、謎に包まれた無人島「二島」の現状を調査しその様子を広く発信。
将来的には二島を、子どもたちをはじめとする地域住民の「海体験の場」や、海洋環境を守るための「海洋実験の場」として活用できるよう開拓を進めていきます。

 

1ヶ月後は“ごみ”だらけ?台風がもたらした変化が調査隊の胸を打つ。            

長崎県 大村湾に浮かぶ無人島「二島」。外周は約1.2km、二つの小さな島がつながっていることが名前の由来とも言われます。
二島調査隊のメンバーは小学5年生から中学1年生までの10名、開拓にかける思いも様々です。

「開拓って楽しそう!地域の人と自然を守り、二島を生き物たちが集まる場所にしたい。」「漂流物を詳しく調べてまとめたい。」「海をきれいにして、みんなが楽しく過ごせる島にしたい。環境への愛は負けません!」「海や森、自然の美しさと楽しさを感じる遊び場を作りたい。」「地元大村湾のために絶対に何かをやり遂げたい!」
想像の無人島と実際の無人島は違うのか、2日間の調査を通じてどんな気づきや学びと出会えるでしょうか。

調査1日目、まずは船で島を一周し、海から島の様子を観察します。
木々が生い茂り自然豊かに見える島、いざ、上陸です。すると、「え?」「なんで?」困惑の声が聞こえます。下見の為、スタッフが島に訪れたのは約1ヶ月前、その時はごみも少なく美しい島でした。それがなんと、たくさんの流木とごみに囲まれていたのです。
10日前に台風6号が通過したことが原因なのでしょうか、分析しながらフィールドワークが始まります。

 

長崎県の環境アドバイザー土橋敬一氏とのフィールドワークでは、自生する植物や地層、島の成り立ちや歴史と幅広く学びました。
中でも、一部の岸壁に石を積み施した復旧工事の紹介では、人の手が入り島を守っていたという事実に驚きが広がりました。土が崩れると海が汚れ、海が汚れると海藻が減り、海藻が減ると小さな魚が卵を産む場所がなくなる。小さな魚が減るとそれらを餌にしている大きな魚が減る。全てつながっていて、人間は海を守ることが出来る。先生の力強い言葉に子どもたちは頷き、聞き入っていました。

 

ごみ拾いをしながら行う海洋ごみ調査では、海岸のごみを見て「潮の満ち引きによって流木と海洋ごみの線が2本出来ている」と調査隊メンバーが発見しました。
海洋ごみの種類は、誰もが知っているアイスクリームのパッケージ、園芸用の土の袋、カップ麺の調味油の袋、等々どれも国内で流通しているもので新しいごみでした。
「大村湾のごみは海外から流れ着いたものではない、やっぱり私たちの街から出ているんだ!」子どもたちは気付いたことを白地図に書き込み、それぞれ考えを伝えあいました。

大村湾は長崎県の中央に位置し、針尾瀬戸および早岐瀬戸のみで外海と通じている非常に閉鎖性が強い湾です。しかも、同じく閉鎖性海域である佐世保湾を介して外海とつながる世界的にも珍しい二重閉鎖性湾となっています。
一般的に、閉鎖性海域は外海との水の交換が行われにくいため汚染物質が蓄積しやすく、水質の改善や維持が難しい性質を備えていると言われますが、海洋ごみも水と同様に外海から入ってきにくいかもしれない。予測していたことが実際の調査で確信に変わり、「そもそもごみを出さない」「ごみを減らす」「みんなでごみを拾う」と子どもたちの海洋ごみへの思いが一層強くなり、覚悟を感じました。

二島説明地図

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海の中に広がる海藻の絨毯。自然豊かな二島を守りたい!                  

調査2日目。
シュノーケル装着のコツ、水が入った時の対処方法をじっくり学び、待ちに待った海の中の観察です。
「イトマキヒトデがいる!裏側は何色か知ってる?」「カブトクラゲだ!繊毛が反射してキラキラ輝いているね。カブトクラゲはクラゲではないんだよ。」海の先生である
中村 拓朗氏の解説に子どもたちは大喜び。
生き物を見つけると「
ヤドカリ!」「ムラサキウニ!」と大きな声で叫び、誰かが「魚がいる!」と言うと「すぐ行くよ。」と泳いで集まり、魚の名前を当て合います。カワハギ、クロダイ、ヒメハゼ、サザエ、ハボウキガイ、コナガニシ、アオウミウシなど、様々な海の生き物に出会うことができました。
「海藻の絨毯みたい!」と声が上がった場所を覗いてみると、海藻の周りに生き物が集まっていることに気が付きました。中村先生は、大村湾の二島周辺は海藻がとても多いけれど、ヤツマタモクやヨレモクなど「海の森」が減ってきている、と解説します。
子どもたちは「海藻が減ったら生き物も減ってしまう。」と実体験をもとに海の問題を見つけました。

海の観察の感想として最も多かったのは、水の透明感です。二島は他の海と透明度が違う、ごみが浮いていない透明な海、水がとってもきれいで透き通っている、と二島の魅力を発見しました。
2日間の無人島調査を終え、調査隊は二島開拓の未来をまとめます。

 

二島調査隊が考えた海の課題解決につながる開拓のアイデアは、大きく2つのパターンに分かれました。

1つは、人間の力で自然を残し守ること。もう1つは、人が集まる場所にして訪れた人を巻き込みごみのない島にすること。どちらの意見も「大村湾を守りたい」という気持ちに溢れていました。

 

■自然を守る

・自然を壊さず、生き物が安全に住むことができる場所を増やし、魚や海藻など海の生き物を増やしたい。
・ごみを減らす、ごみを捨てない、ごみを海に流さない。海面のごみをすくう機械を発明する。
・海に入る際は海の生き物に優しい日焼け止めを使う。

 

■人が集まる

・二島を学校の教科書に載せて紹介したい。
 きれいな海でダイビングができる観光地にし、訪れた人がごみ拾いをする仕組みを作りたい。
・島の森を整えてツリーハウスやブランコ、ハンモックを作る。
 サバイバル体験とごみ拾いボランティアを融合した企画を作り、人と人が仲良くなれる島にしたい。
・波が穏やかで水もきれい、泳いだ時に気持ちよかったので海水浴場にしたい。
 歩きやすいよう整備、二島に船で行けるよう定期便を出し、ごみ拾いイベントを企画したい。
・いつでも誰でも行けるように橋を作る。地元住民だけでなく観光客、大人も子どもも遊べる島にしたい。
・みんなでごみを拾ってキャンプ場を作り、たくさんの人に来てもらいたい。

 

公共のアクセス方法がない無人島「二島」に上陸しおこなった二島開拓大作戦。
豊かな自然を楽しみ、海洋ごみの現状にショックを受けました。
そして「何とかしたい」という気持ちをぶつけたワークショップでの発表。調査隊メンバーの観察する目、想像する力、地元大村湾を大切に思う気持ちを感じる2日間でした。
みんなの思いをこれからどう実現できるか、二島の未来が楽しみです。

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