総務省の家計調査によりますと、冷凍調理食品の年間支出額は年々増加していて、2020年は8,787円と前年と比べて12パーセントも増えました。
コンビニエンスストアのローソンでは、冷凍食品の売り上げを2025年度までに現在の5倍に伸ばしていく方針を示しています。
冷凍食品への注目・需要が高まる中、長崎ならではの商品も生まれています。
西彼杵半島の西にある西海市大島で、タイやシマアジを育てている大島水産種苗では、室内にある水槽で高級魚のヒラメが泳いでいます。このヒラメは卵から育て、陸上で養殖されたもので、重さは800グラムほど。大きいものでは1キロほどにまでなるそうです。
これまでは魚市場に出荷するだけでしたが、2021年から冷凍刺身の製造に乗り出しました。「いつでも食べたいときに解凍して、おいしい長崎の魚を味わってほしい」と考えたのです。
大島水産種苗の耕田知美・加工部長は「遠くにいる友人も、地元長崎の魚がこんなに簡単に鮮度抜群で、食べられてうれしいと言っている。稚魚から大事に育てた魚をもっと多くの人に食べてもらいたいと、加工品にすることにした」と話しています。
魚は養殖場で絞めて、時間をかけて血抜きした後、近くにある西海市の加工会社に運びます。余分な水分を除いて、オゾンで殺菌、その後、冷風と電磁波で瞬間冷凍します。丁寧な前処理と最新の冷凍技術を駆使していて、冷凍しても味や食感が落ちることはありません。冷凍の状態では半年、解凍した後も冷蔵庫で3日ほど保存できます。
試食した記者も「水っぽさは全くない。熟成した味と聞いていたが、魚の旨みを強く感じた」とのことで、冷凍刺身は、2021年10月に開かれた長崎県内の特産品や加工食品などを売り込む「ながさき商談会」にも出品し、日本各地のバイヤーから好評を得ています。
耕田加工部長は「地元でも食べてもらえるもの、お土産品にも選んでもらえるようにバリエーションを増やしていきたい」と意気込んでいます。長崎のおいしい魚を刺身で、いつでもどこでも~メイドイン長崎の冷凍刺身、これからさらに人気が出そうです。(KTNテレビ長崎のニュースから一部転載)